頭痛患者さんにとって春は・・・
寒い冬から暖かい春になると心も体もほかほかしてきますが、それとは逆に体調が悪くなる方も出てきます。春は新生活が始まったり、天候や人間関係の変化によって自律神経のバランスが乱れて頭痛を発症するようです。進学や就職、人事異動など生活環境が変化することによって緊張したり、不安になったり責任感が高まったりと精神的にストレスを感じます。するとホルモンバランスや自律神経にも悪影響を与えます。また日中は暖かくなっても朝晩は冷え込み寒暖差が大きくなり体温調整の機能が乱れます。気圧も低気圧・高気圧が頻繁に入れ替わる時期で特に気圧が急に下がると血管が拡張し、脳の血管周辺に刺激が加わって痛みを引き起こします。
まず大切なことは規則正しい生活を送って心身の状態を整えることです。食事は朝を抜いたり夜食を取ったりと不規則な取り方は注意です。きちんと朝・昼・夜と規則正しくとりましょう。体も適度に動かすことは心身のリフレッシュに繋がります。意識して運動することを心がけましょう。寝ることも体の調子を整える上でとても重要です。夜更かしや寝溜めなどせずしっかりと7時間から8時間は取るようにしましょう。真面目な方ほど色々気になって休みの日でもリラックスできないようです。休日に体を休めることも仕事の1つと考えてメリハリをつけた生活を心がけましょう。
天気予報を効果的に活用し気温や気圧の変化に対応することも影響を受けやすい方にとってはとても重要です。外出を控えたり重ね着ができるように準備したり内服薬を用意するなど少しでも悪化しないようにできることもあるはずです。
ご自身の症状に合わせた対策をして気持ちよく春を過ごしていきましょう!
頭痛薬
頭痛患者さんの中ででたまに「頭痛薬は体に悪いので使わない」、という方がいますが、大抵の場合は痛みが辛いので頭痛薬に頼らざるを得ない状態になっております。ここではその頭痛薬について書いていきたいと思います。
基本的に頭痛薬は、頭痛が始まったらすぐに飲むことが大切だと言われております。痛みが強くなってからではなく初期症状が出た段階で飲むことで、効果的に痛みを抑えることができます。また、指示された量と時間を守ことが大切です。頭痛薬の効き目が悪いと過剰に摂取してしまう方がいますが、逆に頭痛がさらに悪化する「薬物乱用頭痛」になったり副作用を引き起こす可能性が高くなります。頭痛薬の主な種類には以下のものがあります。
ロキソプロフェンナトリウム製剤(第一類医薬品)
病院で処方される鎮痛剤に使用される「ロキソプロフェン(ロキソニン)と同じ成分が配合されている頭痛薬(鎮痛薬)です。「ロキソニンS」や「ロキソニンSプレミアム」、「バファリンEX」や「ロキソプロフェン錠・クニヒロ」などがあります。
非ピリン系鎮痛剤(第一類医薬品)
こちらも病院にて処方される「アセトアミノフェン」や、「非ステロイド系抗炎症薬」に分類される「アスピリン」や「イブプロフェン」が含まれる頭痛薬です。「バファリンプレミアム」や「イブクイック頭痛薬DX」、「ノーシンアイ頭痛薬」や「ルミフェン」、「リングルアイビーα200」や「ウイルクエスト」や「タイレノールA」などがあります。
ピリン系鎮痛剤(指定第2類医薬品)
鎮痛作用を持つ「イソプロピルアンチピリン」が含まれる頭痛薬です。ピリンアレルギーの原因となることもあるため、人によっては細心の注意を払って服用することが求められます。アセトアミノフェンやエテンザミドやカフェインと配合されていることが多いようです。「セデス・ハイ」や「サリドンWi」や「セミドン顆粒」などがあります。
漢方(第2類医薬品)
漢方の中には、「釣藤散(ちゅうとうさん)や「葛根湯(かっこんとう)」などの、頭痛を和らげる作用を持つものもあります。体質や症状によっては、期待される効果が発揮されないケースもあります。そのため、服用する前に慎重に検討する必要があります。
トリプタン系
トリプタン系は、病院にて偏頭痛の急性期治療を目的として処方される薬剤です。頭痛による炎症を鎮める作用と、痛みの原因物質である「神経ペプチド」の流出を抑える働きがあります。
花粉症にはビタミンDが効果的
ビタミンDと言えば骨粗しょう症と連想する方が多いと思います。ビタミンDが不足すると、カルシウムの吸収がうまく行えなくて骨に必要なカルシウムが不足してしまって骨が弱くなり骨粗鬆症になる可能性が高まると言われております。つまり骨粗鬆症の予防や改善にはビタミンDを摂取することが大切になります。
そのビタミンDですが近年は研究が盛んになっておりさまざまな健康的効果があることがわかってきておりますが、中でも免疫力を高める栄養素としても注目を集めています。特に花粉症のようなアレルギーに対しては有効だと判明しておりさまざまな症例が出てきています。
免疫には自然免疫と獲得免疫がありますがビタミンDはその両方に影響を与えて、免疫細胞の機能を最適化する働きがあるそうです。各種免疫細胞にはビタミンD受容体があり、ビタミンDが免疫細胞のビタミンD受容体に引っ付くことで免疫力が上がって、糖尿病や自己免疫性疾患、癌などのさまざまな病気を予防してくれます。中でも花粉症などのアレルギー症状を改善する力があることが最近の研究でわかってきているんだそうです。
花粉症で悩んでいる方は一度試してみてはいかがでしょうか。ちなみに、ビタミンDを食事で摂るには現実的にはなかなか難しいようなのでサプリメントでとる必要があります。1日の100μg継続して摂取し続けることが大事なんだそうです(ビタミンDの血中濃度が常に一定量必要)。金額的にもそんなに高くないのですが、1ヶ月分で200円〜300円といってものもありますが粗悪なものの可能性もありますのであまり安すぎるものは避けた方が賢明なんだそうです。
花粉症と頭痛
春になると花粉症で悩まされる人が年々増えております。現在では国民病とでも呼ばれるほど患者さんが増加しています。
花粉症はスギやヒノキなどの花粉がアレルゲン(原因物質)となってアレルギーを起こします。鼻水、鼻詰まり、くしゃみなどのアレルギー性鼻炎や目の痒み、充血や涙目などのアレルギー性結膜炎の症状が一般的です。
そのほか喉が痒くなったり人によっては頭痛を伴う方もいます。
花粉症による頭痛の原因には副鼻腔炎やアレルギー反応、マスクの使用が考えられます。
副鼻腔炎
鼻の周りには副鼻腔と呼ばれる空洞が顔面骨にあります。頬の裏側の上顎洞(じょうがくどう)、目と目の間にある篩骨洞(しこつどう)、額の裏側にある前頭洞(ぜんとうどう)、鼻の奥にある蝶形骨洞(ちょうけいこつどう)の4つです。これらが鼻腔と繋がっています。花粉症で鼻水や鼻詰まり、くしゃみなど、アレルギー性鼻炎の症状が出ると、粘膜の腫れや鼻水によって自然口が塞がって副鼻腔炎を発症して鼻の周りや顔面に痛みが出たり、頭痛が起こります。
アレルギー反応
アレルギー反応で出される化学物質や免疫細胞を活性化させる物質(サイトカイン)の影響で、頭痛や頭が重くなる頭重感を起こすことがあります。
マスク
花粉症の季節になるとマスクを着用する人が増えます。マスクの使用によって吸い込む酸素の量が減るとも言われています。ある調査によるとマスクを着用すると酸素の量は通常の87%に減少し二酸化炭素の量は通常の30倍にもなるというデータがあります。
また、口呼吸よりも鼻呼吸をする方がしっかりと酸素が肺の奥にまで届くようですが、マスクを使用すると口呼吸になる傾向があり、体に酸素を十分に送ることができないと考えられています。マスクをつけることによる酸素不足が頭痛を起こす原因にもなるようです。
黄砂と頭痛
最近、黄砂で体調不良を訴える方が増えていると言われており、当院の患者様でも年々その旨をおっしゃられる方が増加しております。
黄砂は中国やモンゴルなどの砂漠から飛んでくるちりや砂で、偏西風に乗って日本にまで飛んできます。黄砂の飛散量は気象庁のホームページなどでも確認ができますが、車や洗濯物、建物に積もっているのが分かるほどひどい時もありますね。
黄砂は一年中日本にやってきますが、3月から5月頃がピークになります。花粉症の時期とも重なるので花粉症の方は症状が悪化したり、花粉症がなかった方でも「花粉症になったのかも?」と感じるようです。
黄砂アレルギーは花粉症と同じような症状で、目の痒み、皮膚の痒み、くしゃみや鼻詰まり、鼻水、喉の痛みや咳、そして「頭痛」などを感じます。黄砂は大きさが4μmと花粉よりも粒子が細かく体内に入りやすく肺の奥にまで吸い込まれることがあり、気管支炎や喘息の原因になることもありますので気をつけなければいけません。
対策としては飛散量が多い日には外出を控える、黄砂をブロックできるマスクの使用(専用のマスクや二重使用)、メガネ、服は黄砂が付着しにくいナイロン製のものを着用、帽子を被り帰宅時には外で払ってから入る、帰宅後は手洗いや洗顔、うがいを行う、洗濯物は部屋干し、空気清浄機や加湿器の使用、床は雑巾やウェットシートでこまめに拭く、などです。
寒暖の差も激しくなるこの時期、できることをしながら少しでも快適に過ごしていきましょう!
気象病と頭痛
頭痛持ちの方で気圧や温度、湿度などの気候の変化を敏感に感じて頭痛が起こる、悪化すると感じている方は多いものです。日本では1000万人もの方々が「気象病」に悩まされていると言われています。
気象病の症状は幅広く「気分が乗らない」「体がだるい」といった軽いものから生活に支障をきたすほどのものまで本当にさまざまです。
頭痛・首こり・肩こり・神経痛・古傷の痛みなどの「痛み」に関するもの、めまい・ふらつき・動悸・下痢・便秘・鼻炎・咳や喘息・鬱症状・冷えや痺れ・・・といった症状が出る場合もあります。
ここで特に重要なポイントは「自律神経」にあります。自律神経を整えて気候の変動に影響されにくい状態を保つことが予防や改善への第一歩になります。
そのためにはまずはしっかりと睡眠をとること。規則正しい生活を心がけ食事では栄養バランスを考えて摂ること、ストレスは大敵なので適度に運動をしたり、入浴や趣味などの気分転換を心がけてリフレッシュすること、などがあります。
また低気圧の対策として耳のマッサージは効果的です。耳の内耳には気圧を感知する部分があります。耳の血流を良くすることで気象病の予防や改善につながりますのでぜひやってみてくださいね。
頭痛患者さんの2月
皆さんは2月になって体調は大丈夫でしょうか。2月は頭痛が酷くなる方が多くなる月です。特に「緊張型頭痛」はその傾向が強くなります。
緊張型頭痛は肩こりや首こり、精神的な緊張や目の疲れなどなどから神経を刺激することで起きる頭痛です。冬は体が冷えてしまうので体温をあげるために特に肩や首周りの筋肉を収縮させてしまいます。それによって血流を悪化させてしまいます。また冷気で首周りを冷やして頭痛が起こることもあります。
体を冷やすことは頭痛患者さんにとっては大敵です。ホッカイロやマフラーを使用するなど寒さ対策は万全にして寒さの厳しい2月をうまく乗りきりましょう!
年始と頭痛
年始は年末からの不規則な生活の影響を受けて体調を崩しやすいようです。仕事や学校がないのでついつい夜更かしをしたり朝寝坊をしてしまいがちです。飲食もダラダラとして食生活も崩れてしまいます。初詣や初売りなど寒い中で長時間人混みに出かけて身体的にも精神的にもストレスが溜まってしまいます。この時期に起こる頭痛を「正月頭痛」と言うようです。また、年末までバリバリ働いていた人が正月休みに入って生活のリズムが大きく変わって「緊張から弛緩」のギャップが大きくて頭痛を発症する場合もあります。
大切なことは規則正しい生活を心がけ、心身の負担を日常生活と大きく変えないことです。
冬と頭痛
冬になると頭痛の頻度が高くなるという患者さんがいます。
寒さ、冷たさが頭痛を引き起こす「寒冷刺激による頭痛」というものがあります。
例えばアイスやかき氷を食べると頭がキーンとなるというのは理解しやすいと思います。「アイスクリーム頭痛」と言われるようで冷たいものが喉を通る時に三叉神経が刺激され、その伝達信号を脳が痛みと勘違いして頭痛が起きる、または喉や口が急激に冷えたために、一時的に血流量を増やして温めようとする時に頭に繋がる血管が広がって頭痛が起きると考えられています。
また、とても寒い日や冷水浴、スケートや凍結療法など頭部を非常に冷たい環境にさらした後に頭痛が起こる場合もあります。
また、「緊張型頭痛」もあります。こちらの方が深刻ですね。寒さで体温が下がるとそれを上げようと無意識に身震いをしたり首をすぼめるなど筋肉を収縮させて熱を産生します。結果的に首周りや肩の筋肉がこわばって頭痛を発症します。これが慢性化して患者さんを悩ませます。すでに緊張型頭痛を発症している方はこの時期に悪化しがちです。首周りを中心に体を冷やさないよう暖かい服装、マフラー、手袋、カイロなどを活用して辛い冬を乗り切りましょう!